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inokuchi

日本は給料が上がらない悪い国?

前回では、個人金融資産に占める株式・投資信託の割合を高めることにより、資産効果を引き出し、個人消費が増加、その結果GDPが伸長するお話をしました。


本来、個人消費は勤労所得の伸びにより高まることが定説ですが、1990年以降、勤労所得の名目値はほぼ横ばい状態です。

 

このことをもって、日本は給料が上がらず、悪い国なんだ、みたいな意見を言っている人がいるようです。

 

本当にそうなのでしょうか? 下記グラフの上段は日本のインフレ率の推移を表したものです。この40年間、0%を挟んだ動きとなっています。

それに対して下段のグラフは米国のインフレ率の推移です。ほぼ3%平均です。

 

本当にざっくりした計算ですが、0%が40年間続いても物価の上昇は0です。ですから、この期間、給与が横ばいであっても生活水準は同じです。

 

米国は同期間3%×40年=120%となります。2倍以上に伸びています。実に雑な計算ですから正確ではありませんが、低くみてもこんなに差があるのです。

 

人はいろいろなことを名目値から判断しますが、実は金利で調整した実質値で考えなければいけません。このようなことを経済学では「貨幣錯覚」と呼びます。

 

ただ、実質値では変わらないとはいえ、それを享受しているだけでは豊かさを手にすることはできませんし、グローバル社会で生きてはいけません。

 

勤労により給与所得が上がらないのであれば、資産効果が発揮される構造作りに頼るしかありません。そのことを私は広めていきたいです。

 

なお、前回、今回と非常に雑な計算を用いましたが、方向性を知るには、まず近似値もしくは帯域を知ればよいというのが私の考え方です。


日本のインフレ率の推移

出所:IMFのデータを基に世界経済のネタ帳が作成

米国のインフレ率の推移

出所:IMFのデータを基に世界経済のネタ帳が作成


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