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株式市場を動かす国民の意識

「新たな何か」が起因する「物語」が市場の参加者に「共同幻想」をもたらす8つの源の⑥国民意識の高まりについてお話します。


 ここでは2つの事例を挙げます。1つ目は1973年10月末、千里中央のあるスーパーに、突然長い行列ができました。トイレットペーパーの特売に並んだ人たちでしたが、これを見た住民たちの間から「トイレットペーパーがなくなるらしい!」というデマが一挙に広がり、買いだめが町じゅうに拡大。数日の間にあらゆる紙製品が店頭から消え、この騒ぎは千里からなんと日本中に広がってしまいました。


 「新たな何か」としてオイルショックが起こり、それに物語性が付いた事例です。


 2つ目はコロナの感染拡大に関係することです。2020年の初頭から感染の広がりと共に恐怖が国民の心を支配しました。


 感染を避けるためには、マスクの着用の必要性という「物語」が国民の間に浸透します。マスクの価格は急騰、一時期は品不足まで。


 そこで従来マスク製造を行っていなかった企業が製造を始めます。その1社がシャープです。半導体製造などのためのクリーンルームを使ってマスク製造が開始されました。(2020年3月24日製造開始)


 既存事業の業績は芳しくない中、下記のチャートにあるようにシャープの株価は大きく上昇したのです。いわゆる「連想買い」です。


 このように「新たな何か」が世の中で起こった際、国民感情のちょっとしたことがきっかけとなり、株価が、そして経済が動くことがあります。決して理論では答えを見出すことのできないことが動き出すのです。


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